TOP > 40代からはじめよう!認知機能対策は食事や運動から
早めに“生活習慣”の改善を!
40代からはじめよう!
認知機能対策は食事や運動から
認知機能対策は食事や運動から
監修:愛媛大学医学系研究科教授
愛媛大学抗加齢予防医療センター長
伊賀瀬 道也先生
伊賀瀬先生からのメッセージ
認知機能対策は、
普段の生活の中で
簡単にできることから
なぜ40代からの対策が必要なのでしょうか?
40歳くらいから「度忘れ」が気になるようになっていませんか?実は記憶力を含めた認知機能の低下は40-50歳代から始まるといわれています。
2006年、「抗加齢予防医療センター」を開設して以来、30-90歳代の4,000人以上の患者さんの心と体に向き合ってきた中で、ダントツに多かったご相談も「度忘れ、もの忘れが気になる」でした。今、高齢化社会となり、健康寿命を延ばそうということが非常に大きく言われています。そのためにすぐにでも心掛けたいのが、早めの認知機能対策です。
できることから生活習慣の改善を
その一方で、認知機能が少し下がり始めた段階で、少しでも早く対策をしていけば、認知機能の低下が起きない、あるいは非常に遅くなるというデータもたくさん出てきています。
とはいえ、私自身もそうですが、あまりにハードルが高いものだと長続きは難しいでしょう。まずは少しでも早く、普段の生活の中で簡単にできることから始めていただく。それが認知機能対策を長続きさせる最大のコツです。
今回ご紹介する “よい習慣”が、いつまでも健康的で若々しく生きるための一助となれば幸いです。
伊賀瀬 道也(いがせ みちや)先生
愛媛大学医学系研究科教授
愛媛大学抗加齢予防医療センター長
2006年より4,000人以上の患者さんに指導を続けてきた「抗加齢医学」研究の第一人者として、認知機能低下の予防と治療に尽力。血管の専門家としても有名。NHKの“血管特集”番組などテレビ出演も多数。著書に『アンチエイジング医療の医師が教える!「食事」と「生活習慣」の極意』(日東書院)『国立大教授が教える最高の若返りメソッド 長生き1分片足立ち』(文響社)他がある。
食事編
まずは取り入れやすい食習慣の改善から

太り気味、特に中年期の内臓脂肪の蓄積は、認知機能低下の危険因子。認知機能対策でも「バランスのよい食事」「腹八分目」が非常に大切です。とはいえ「よい習慣」を一度に全部行うのが難しいという人は、まず「ベジタブルファースト」から始めてみましょう。同じ献立でも野菜から先に食べると、血糖値の上昇と脂質の吸収を抑えることにつながります。

近年、認知機能低下を抑制すると注目の「地中海食」。一番のメリットは、野菜や果物の豊富なビタミン、オリーブオイルのポリフェノールおよびビタミンEをはじめ、老化を防ぐ「抗酸化物質」が豊富に含まれていること。季節の緑黄色野菜や果物、オリーブオイル、魚、ナッツ、ヨーグルトなどの乳製品、適量の赤ワインを摂る「地中海食」は、認知機能対策において、ぜひ積極的に習慣化したい食事です。

最近の研究によると、脳に蓄積した「AGE(糖化最終生成物)」という物質が認知機能低下に関係することが分かってきました。AGEの蓄積を防ぐ食事のコツは、食べ物の「お焦げ」を減らすこと。調理法では、電子レンジ調理、揚げ物、焼き物はAGEが多くなり、煮物や蒸し物は少なくなります。食べる際は、AGEの蓄積を抑える酢やレモンなどの柑橘類をプラスしたり、焦げすぎた部分を除いたりなどの工夫がおすすめです。

女性の健康と美容によいとされる大豆。その大豆に含まれるイソフラボンが体内で分解されてできる「エクオール」という成分に、認知機能低下リスクを軽減する可能性があることが分かってきました。日本人は、2人に1人が体内でエクオールを作ることができるといわれています。また作れない人でも、大豆食品を積極的に摂ることでエクオールを作れるようになる可能性も出てきています。毎日こまめに摂っていきましょう。
運動編
はじめよう!片足立ちで認知機能チェック
まずは片足立ちで認知機能を
簡単チェック!
あなたは何秒できますか?
20秒未満の方は要注意!
「片足立ち」は長くできない人ほど認知症を含む脳疾患の発症リスクが高いことが分かっています。まずは1分片足立ちで認知機能を簡単チェックしてみましょう。20秒未満の方は認知症や脳梗塞の入り口にいる可能性がありますので要注意です!
片足立ちチェックのやり方
両方の足で行い、
長く上げられたほうを基準にします。
あなたは何秒?気になる片足立ちの目安
「片足立ち」に加え「ながら運動」を
運動と同時に別の何かをすることで脳を刺激し、認知機能を高めるということが近年分かってきています。国立長寿医療研究センターでも「コグニサイズ」として取り入れられ、効果が実証されています。
おすすめのながら運動
- しりとりしながら片足立ち
- テレビを見ながら片足立ち
- 歌いながら片足立ち
- 簡単な暗算をしながら片足立ち
注意点
- ふらついたとき、転倒しないよう、とっさに掴まれるものの側で行いましょう。
- 痛みが出たり体調が悪化したりしたら、すぐに止めて、専門医に相談しましょう。

コミュニケーション・睡眠編
ポイントは
「おしゃべり」「睡眠」「思い出す練習」

認知機能対策には会話をともなうコミュニケーションが大事です。対面での会話が一番ですが、電話やオンライン会話でも大丈夫。積極的に「しゃべる」機会を増やしていきましょう。その際、「笑顔」もコツの一つです。笑顔で会話することは、コミュニケーションを豊かにし、精神的な安定にもつながります。コミュニケーションが苦手な人は、会話ができるゲームなどを利用するのもおすすめです。

認知機能対策には、睡眠の質を高めることが大切です。その鍵となるのが「体内時計」です。規則正しい生活習慣でこの「体内時計」を整えることにより、眠りを誘う「メラトニン」の分泌が促され、体も脳も十分休まる「よい眠り」が得やすくなります。
体内時計を整える5つのコツ
- 1.起きたらカーテンを開けて朝日を浴びる
- 2.朝食は起床後1時間以内に摂る
- 3.夕食は就寝2時間前までにすませる
- 4.寝酒はやめる
- 5.就寝前のパソコン、テレビ、スマホは避ける

認知機能対策では「覚える」より「思い出すこと」を習慣化するほうがより効果的です。例えばテレビを見ているときに俳優さんの名前が出てこないときも、忘れっぱなしにしないで、その都度最後まで思い出すことがコツ。どうしても出てこないときは、スマホなどで検索しても大丈夫です。また「思い出す練習」は、一人よりも誰かとの会話の中でヒントを出し合いながら連想ゲームのように思い出していくと、お互いの脳によりよい刺激となります。
『国立大教授が教える最高の若返りメソッド 長生き1分片足立ち』(文響社)
『アンチエイジング医療の医師が教える!「食事」と「生活習慣」の極意』(日東書院)